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1997年12月

乳幼児の保育・子育ては
日本再生への出発の原点である。
子ども達から多く学び、保護者の皆様と共に
日本の未来創造の輪を広げていきたい。

終わりよければ始まりよし。平成9年も余すところ1ヵ月となった。光陰矢のごとし、思っている課題も積残したまま、年を越そうとしている。

平成9年は大変革の時代の前兆にふさわしい問題をたくさん投げかけられた年であった。その警鐘をどう受け止め、判断し行動するかは各人の意識に待たなければならない。

この大変革期に対し、問題意識すらない、他人事として等閑視している人も多い。自分が携わっている仕事の将来の見通しについても他人事にしか考えていない人もいる。これはすべて甘えから生じ、日本人が制度から飼い慣らされ、自主自立の心、生きる基本的な力を失っている証拠でもある。寄らば大樹の蔭、長いものには巻かれろといった他力本願の生き方をし、自分を失い、権力者に都合のいいように飼い慣らされてきた。

意見を言ったり、上司に逆らうと左遷されたり、その職を失ってしまう。上手に要領よく生きてきた人が組織のなかで上位を占めてきた。気骨のある人は敬遠され、組織の頭には立ちにくいのが今までの社会の現状と思われてならない。

戦後、廃虚と化した日本を復興する時、青年団運動が大きな力となった。『日本の蘇生は青年の力で』が合言葉となり、言論の自由、思想、信教の自由の中で、お互いが胸襟を開き、夜を徹して語り合ったものである。

恋愛結婚、見合い結婚の是非、民主主義とは何か、政治とは、組織とは、官僚についてなど、社会の諸問題について討議を繰り返しながら、私達の役割を確認し、地域青年団の目的、使命に向かって、補助金も全くなく奉仕活動をし、特に幹部の皆は、それぞれの家庭からの持ち出しによって活動を繰り広げてきた。これらの青年たちの真摯な姿勢が暗い社会に灯りをともす力となった。

当時論議した中で、民主主義が日本にとって画期的なものであるが、逆に言えば具体的な理解や展望が何もなく、正しく運用できるものか、個人の都合を優先する風潮が生まれ、地域社会を崩壊させるのではないかという危惧があった。民主政治が衆愚政治にならないためにはどうしたら良いのか。

画一的な官僚行政によって、国民の意志を無視して戦争を起こし、一億総玉砕を叫んで国家を窮地に陥れた当時の官僚や軍部の責任は重い。そのため戦後の官僚排撃の火の手は強かった。新しい主権在民の国家体制のなかで、官僚は公僕ということになり、当時の官僚は公僕として謙虚に自分の責務を果たすべく努力していた。政治家も、戦争責任を追及され、旧体制の政治家は影を潜め、新しい政治が生まれた。

民主主義は多数決の原理で、票を獲得することが力となり、政治家は組織力と集票のための経済力を必要とし、次第に金権政治に染まりはじめ、遂に金が力となり、政、官、財が日本を牛耳り日本の崩壊の原因につながってきた。私達が青年の時代に危惧してきた衆愚政治が横行し、日本の社会は危機を迎えている。国民にもその責任の一端があり、財政赤字のツケは国民が支払わなければならない。責任を追及してもすでに過去のことで、根本的な解決にはならない。

それよりも、経済は勿論、日本人としての精神、人間の心までが蝕まれている今日、日本再生は如何にあるべきか、その放構成を早く見い出し大転換を図らねばならない。政府は、今、行政改革を旗印にどんな案を国民に提示することができるかと思うが、今日のこの惨状を招いた政治家や官僚たちに抜本的改革を望んでも無理である。しかし現実社会は刻一刻と厳しさを増していっている。水は高きより低きに流れる。自然の流れのなかでは、人間の力で出来ることは限られている。人智の空しさを痛感するのは私だけではあるまい。

本年の通常国会で、児童福祉法が改正され、保育制度も大幅に改定され、四月から発足する。来年度からもう動きはじめるが、行政の確たる指示、指導もなく、どの様になるのか、どう皆様に対応していけばいいのか、全く先の見通しがたたないのが保育園の現場の現状である。

従来『保育に欠ける』児童のための施設とされていた保育所は、『保育を必要とする』児童のための施設と変わり、国や自治体責任での措置入園制度から、親主体の選択制になると言われ、保育料も基準が変わり制度が変わっていくのに、その方向すら見えない状態で新しい制度の発足を迎える。

今まで入園申請書を皆様に提出していただいてましたが、来年度からは入園申込書に変わります。入園申請書は本来岡山市に提出するのを、園が預かっていたもので、入園の決定は岡山市長の責任で行われておりました。平成10年からは、保護者と保育園との直接契約という方向に変わると言う事です。しかし、今の保育園には何らそのような権限がない。申込をされても定員があり、その範囲内ならば問題はありませんが、定員以上の申込のあった場合、それを受けることが制度上難しい。その場合、申込をされた保護者の皆様に、どう返事をしたらよいのか、園の権限もなく、行政の方針がわからず、保育園も保護者の皆様も途方に暮れるありさまです。しかし、12月になれば、申込書が配布され、新年度の申込が始まります。

保育料についても、どう変化するのか明確には非公式にも示されておらず、国は保護者負担で、保育サービスに応じた保育料を、と言われますが、来年度の運営予算には各保育園とも頭を抱えているのが現状です。

新しい時代に向けて、保育園も、保護者の皆様に応える保育内容を整え、保育とは何か、その原点に立ち返って模索し、日本民族の将来像を描き、人間育成を根幹において保育内容の構築を図っていくために、『だいいちの保育』の改定を本園 周年の事業の大きな柱として、8月の夏季保育中に、職員全員が保育のなかで気付き、実践してきたものを共通理解の上で、私達の目指す保育を再構築し、皆様に伝え、ご理解いただき、保育園選定の参考としていただくと共に、充分なご理解と共感をいただいた上で本園を選択してくださったことと信じて保育を展開していきます。

保育・子育ては人間教育の原点です。すべてが変化しようとしているこの時代、原点に立ち返れと自然は教えてくれています。素直に子ども達から学ぶこと、人間本来の自然な生き方に触れて、幸せをつかむこと。

厳しい時代です。しかし根本を理解し、生きる力を自分自身で育てていけば、必ず幸せな人生を生きることができます。その輪を、自分自身と自分の周りの人達、子ども達に広げていきたいものです。

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