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1年中で一番さわやかな秋空の下で、生涯に残る楽しい思い出となる運動会をみんなの力で開催できました。各担任の意見に基づき英知を結集し、運動会実行委員会を八月に発足し、創意と工夫を逞しくして企画し、練習を積み重ねてきました。
人間は夢を現実に変える力を持っているけれども、その力の基礎は幼児期にしか培うことができない。夢と現実をともに受け入れ、誰もが自由な発想の中で生きていられる時代は幼児期以外ない。この時期に充分に夢を見て育つ子どもは幸せである。その夢はその子の生涯を支えて生き続ける。
子ども達と保育者が一つの夢を共有し、同じ世界に生きる楽しさを味わうこと。同じ仲間で夢を見ることで、その夢の楽しさは倍加していく。そんな環境づくりが保育である。
子ども達と保育者の織りなす、この夢こそが保育の意味であり保育の醍醐味であり、保育園の使命であり存在理由であると言える。
お父さん、お母さん、子ども達の「夢の扉を開ける」子育てを、子ども達は待ち望んでいる。生涯に亙る「本当の夢の扉」を開けてやれるのは、保護者の皆様です。保育園の運動会は、皆様にその役割を気付いていただく機会であります。私達大人は、子ども達から多くのことを学ばせていただいている。運動会で皆さんは子ども達から多くの感動を与えられた事と思う。子ども達と共感し、子どもの心に立ち帰る。子ども達の心に打たれ、子ども達から生きる力、生きる喜びを受け取っていただけたのではないでしょうか。
私達の目には見えない世界、耳で聞こえない言葉を、子ども達からの感動を通して感じることができる。現実にとらわれず夢を持ち、夢を現実に変えていくことは最高の喜びであり、子どもはその能力において大人に先んじている。その子どもの素晴しさを無心に感じることが、自分の人生を変えるきっかけでもあり、その子どもの人生をひらくことでもある。
子どもと同じ目線、同じ心を共有して初めて保育をしていると言える。理屈ではなく、自分自身の実践があって初めて可能なことである。
私は30年の保育のなかで3,500名を越す子ども達と出会い、200名を越す保育者と共に、子ども達の心とからだ両面にわたって生きる力を育てる保育に懸命に取り組んできました。
その30年の保育の歩みのなかから「保育とは良い思い出を育てることだ」と実感することが出来ました。
おぼえていますか?
わたしたちは、昔、子どもでした。
おぼえていますか?
その時のことを。
わたしたちは、昔、子どもでした。
心をもっている子どもでした。
いろいろなひととの出会いの中で
自分の心を育てあげてきました。
いま、わたしたちのまわりに
子どもたちがいます。
昔のわたしたちと同じ
人の心をもつ子どもたちです。
わたしたちと同じ人間です。
(だいいちの保育理念3)
私は全くといっていいほど幼児期の思い出が心に残っていない。それは人間としての夢が少ないことと感じる。幼児期の思い出が一杯あれば、子どもの心をより理解し、よい保育を構築するよすがになると思うので、残念なことである。夢を失った大人には子どもの心が理解され難くなっている昨今である。
その中で、若く、子どもの心を豊かに持ち、夢も一杯ある人間によって初めて幼児や乳児と共感でき、子ども達の居場所が安定していれば、よりよい保育が展開していくことを、30年の実践の中で実感してきた。学校の成績がよく、保育理論が暗記でき、保母資格があれば良い保育者とは限らない。幼児の心を残していること、幼児期の思い出が残っていることは素晴しいことと思っている。採用試験の際、保母になりたいと思った動機を尋ねると、殆どの人は幼児期に出会った先生の人間性にひかれて、と答える。楽しかった思い出を心に残し、夢を一杯に膨らませて子ども達と心が通じている人達である。子ども達の夢の扉を開けるための創意と工夫を一杯に持っている。
このような保育集団のパワーはすごい。運動会の準備も毎日毎日積み重ね、最初に抱いた運動会のイメージを次第に現実化していく。最初あいまいだったものも、日に日にはっきりと形をとり、夢が広がり準備も大変となり、自発的に居残りをして取り組み、またそれが不服ではなく楽しく保育者同士助け合い、教え合って運動会を盛り上げていく。運動会の成否は、実にこの保育者の保育に対する、子ども達に対する心の在り方、意欲にかかっているのである。
保育園を運営する立場にあるものには、しばしば「今どきの保母は気がきかない」「気働きがない」などと愚痴をこぼす人もいるが、私自身は、このような若さ一杯、意欲一杯の本園の保育者に感動し感謝している。どの保母も大変であった。今年採用した保母も初めての運動会を精一杯盛り上げて、全く新任などという事を感じさせなかった。立派な保母としての第一歩であったし、それを先輩たちもよく教え支えてくれた。
毎日の保育の成果を、運動会を通して感じることができ、保母の意欲が子ども達の楽しさ、喜びになって、それが保育園全体、保育者も保護者も巻き込んだエネルギーになり、それが新しい夢の扉を開く力になってくれました。ここに運動会を盛り上げてくださったすべての保育者や子ども達やその周りの大人たちに、心からお礼を申し上げたいと思います。
教育の意義が見失われつつある今、子ども達が心身とも健全に育っていくために乳幼児期に生きる力を育ててやらないと、不幸な人生にと連なっていく。子どもは、自然に明るく幸せに生きるように生まれついている。それを理解せずに教育を語っても意味がない。子どもの心を知って初めて、それを伸ばす道を考えることができるのです。
この運動会で、子ども達は宇宙に向けて一杯の夢を発進させました。この夢は子ども達の人生の中で共に生き続けていきます。これが私達保育者や大人が、子ども達に贈る精一杯の贈り物です。どんな時もその子と共にあり、励まし勇気づけてくれます。それこそが生きる力ではないでしょうか。
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