|
|
児童福祉法の改正案が6月3日、衆議院本会議で可決・成立した。
制定から五十年を経て初めて大幅改正されることとなった改正・児童福祉法は一九九八年四月一日から施行される。
市町村が入所児を決めている今の方式から、親が、希望する保育所を選んで申し込み、市町村がそれをもとに選考する方式に変わる。
「同一のサービスには、同一の負担額を求める」という指針に沿って制度が改められる。
『選ぶ権利』
親が保育所の情報を得た上で、児童の個性や親自身の就労状況に合わせて保育所を選択できるように改め、『選ぶ権利』を明記されているが、現実に保育所に定員枠があるため、全国で入所待ちしている児童は三万三千人近く、「現実に親がどこまで選べるのか」という指摘が国会質疑でも出ている。
『保育料について』
現行では、親の収入を基準に決められているが、改正案では、「児童の年齢に応じて定める額」とし、サービスの内容に応じて負担を求める。「親の収入に高低があっても、同じサービスを受けたものならば同じ保育料を負担させる」というわけである。
低所得者への急激な負担増を避けるため、当面の経過的措置として負担額設定方式を残すと共に、10段階から7段階に簡素化する。
厚生省は、「国庫負担は従来通りで親の負担は原則として変わらない」と述べている。
改正案による保育所制度改正案の主な部分
児童福祉法第24条に定める、保育所入所、保育の仕組・同法56条の保育料の仕組の3点が改正され、保育所入所制度に大改革が加えられた。これを踏まえて保育の在り方が、さきの中央児童福祉審議会基本問題部会の中間報告で5つの提言がなされている。
保育所が『保育に欠ける児童のための施設』から多様なニーズに応える保育サービス事業施設に大転換する時代に突入し、私たち設置者は、50年のあいだ規制され続けてきた制度の中での運営から脱皮を図らなければならない。時代の変化にともなって、その波に呑まれることなく、安定して質のよい保育サービスを提供し続けるためにはどうすべきか、保育所の在り方を模索していかなければならない。
保育所選択制の導入
保育所間の競争原理を受けとめ、地方では大きな論議を呼んでいることではあるが、自由選択制は時代の流れの必然であり、むしろ遅きに失したと言ってもよいだろう。私は過去の保育行政の有りようには矛盾を感じながら、30年間保育の在り方を模索し続けて今日を迎えた。
保育所行政の指示・指摘されるような保育に甘んじていたら、今日の高島第一保育園の保育は構築されていない。保育行政は、民間保育園の性格・使命を全く無視し、公立的行政順応型の保育所、行政に飼い馴らされた独自の主張をもたない保育所となるべく奨励してきた。措置費制度を楯に民間の活力を削ぐような対応をし続けてきた。
一方、公立保育所に対しては、地方自治体は莫大な予算を投入し、公私格差を助長している。行政は公立・民間のそれぞれの役割というものを理解していないのではないか。
民間の保育所は常に、先駆者・先導者として、時代を先取りし、新しい試みを率先して行い、模索し実績を積み上げてきた。新しい時代に向けての保育の役割・使命を持って設立された保育所が、行政の圧力によって消え去ったり、自治体に帰属を余儀なくされてきた。私財を投げうって、地域社会に貢献してきた人々に対してあまりにも酷な仕打ちと思う。
このような繰り返しのなかで、開拓精神旺盛だった民間保育所も、あるいは消え、あるいは妥協をおぼえて、役人の顔色をうかがい活力を失ってしまったのが現状である。このように行政に飼い馴らされ、独自性を奪われて画一的な保育・運営を強いられてきた民間保育所が、新しい時代に向けて脱皮することは至難である。過去を責めても意味はないが、やはり行政が身勝手だという感は拭いきれない。
それでも民間保育所が存続するためには、今一度設立の原点に立ち返り、設立された目的・独自の保育理念・それぞれの使命を明らかにして、園の特性を生かした、地域や保護者から信頼され、子どもに本当によろこばれる保育所作りをしていく必要がある。
競争原理は世の常である。それがなければ向上のための努力は払われない。そして皆が努力をすることで成長していく。切磋琢磨する中から調和が生じる。しかし大切なのは競争するための努力ではなく、自分の生き様を貫くための努力であろう。その努力をし続けることが脱落しないための秘訣ではないかと思う。
高島第一保育園の課題
多様化する保育需要への対応はまさに保育所の使命であり、岡山市に於いても常に先駆的な役割を果たしてきた所である。一時的保育、午前7時から午後8時までの延長保育、低学年の学童保育を始め、数々の保育サービスを行い、質を上げ、弾力化を図って来ています。
保育者が私の考えを理解し協力してくださっいるおかげで、質の高い保育サービスを皆様に提供できていると信じています。
本当の保育サービスは形だけではなく質的にもよいものでなくてはなりません。その質を向上させるためには、保育園全体の保育に対する考え・理念がしっかりしていることが必要です。そして保育者の一人一人が意欲を持って行動していく実践の積み重ねが自身の成長、ひいては子どもの成長につながります。
保育園における本当の保育サービスとは何か、この点について私たち保育者と保護者の皆様の共通理解がなされていれば嬉しいです。今、保護者のニーズに応えることが本当の保育サービスなのかどうか、首を傾げたくなることがままあります。一時的保育にしても、本当に困られて来られる方だけでなく、子育てから解放されて羽をのばすために利用されるケースもあるようです。是非は論じませんが、それが子どもにどんな影響を与えるか、その子が大きくなったときにどんな人になる子育てを今しているのか、子どもの問題は自分にはねかえることも考えにいれて判断していただきたいと思います。
私たちは保育園の保育サービスとは、子どもの乳幼児期がその人生の岐路であることを考慮して、幸せな人生を築いていくための基盤をつくってあげることだと思います。そしてその子の幸せは、保護者の皆様にも波及するものなのです。
本園に来て下さっている方は、親の都合だけで保育園を選ばれた方ではないことを心から願っています。子どもの幸せと親の幸せが、かかわりあっていることをどうか心に留めてください。
児童福祉法の変革の時。心したい課題だと思います。
|
|