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1996年6月

人間は環境の中で育つ、
高島第一保育園の保育環境は
30年に亙り子ども達と関わった保育者が
実践で作った保育環境に感謝したい

行動の季節、自然の輪廻法則に従った生活行動の中で生かされ、生きている。その自然から遊離した行動パターンはどこかに歪みが生じ、思わぬ淵にはまり込む。運命とはそれぞれに荷せられているとも思われるが、その運命は自然の摂理に逆らうこと(意識しなくても)によって、運、不運につながると思っている。また、何が運で何が不運であったかは、一生涯を経ち、懐古する中で想像するだけの事である。

「人間万事塞翁が馬」という諺がある。人生の禍福は予測し難い事の例に使われている言葉であるが、この諺のように人間世界は動いている。順調に行くと予測した事が一朝にして崩れ去る。今が永遠に続かない。これが人生である。しかし、人間は錯覚する動物である。敷設した路線が永遠に続くように思い、親は子どもの為に幸福に生き続ける路線を敷設して置こうと念じ、子どもの為に精一杯頑張り続けている。これは人間動物の本性であり喜ばしい事で、その行為は大変意義ある事だと思う。

親の意志を子どもに理解させる事は大切であるが、社会の仕組みを体験や生活の中で肌で感じ、人生経験を20年、30年積み重ねてきた大人の考えを全く経験のない子ども達に理解させようとする事は至難の業である。

又、親の経験必ずしもそれが是とは言えない事も多く世の中の仕組は複雑怪奇で奇想天外の事も生じている。

子ども達が納得し理解できるように話をしてやる事は大切であるが、テレビという魔物の中で話をしようとしても出来ないし、子どもが聞こうとはしない。また、日常生活を通して尊敬している人の話には耳を傾けるが、そうでないと耳を傾けない。

まして親子はあまりにも身近で、お互いに我がままが出て、親の一方的な考えで話をしようとしても子どもは逃げていく。身近である家庭はある一面は大変難しい。

家庭での対話が良くなり、楽しく和やかでゆとりが出来たらこれ以上の教育の場はない。思った事を言い喧嘩 をしてもすぐケロッとして生活できる集団は家庭しかない。職場や家庭外の集団でいったん感情を阻害すると大変な事になり、事と次第によっては生涯に亘ってわだかまりが解けない事も生じる。

臨機応変に対応できる家庭という集団は社会性を身につける上で、又とない教育集団である。この集団ではそれぞれが個性丸出しでぶつかる事が出来、お互いの長所短所を遠慮なく批評し合える。自分の生まれ持った個性を思い切り開陳し、親身だから許し、親は子どもが社会生活をするのに困らないように色々と諭し気付かせてやる事がスムーズに行える環境が家庭である。だが家庭が常に平和で明るい事は有り得ない。波乱があってお互いに譲り合い、どうしたら明るくなるか、工夫し合う事でそれぞれが自分の人生の生き方を身につけていく。

家庭でも家族集団が良くなると周囲から羨望されるようになる。その様な家庭になるには一朝一夕には行かない。長い歴史と努力と共通理解の中で自然に生まれる。家にはそれぞれの流れがあり、家訓として残されている家もあるが、先祖代々その家特有のしきたり流れの中で生かされて来ている面もあるようにも思っている。

今は核家族化の中で家庭の機能も変化し、個々が描く家庭のイメージも自分が育った環境によって異なる。良い家庭環境で育った人はその環境作りが心の奥底に潜んでいる。家庭環境は人間終生につきまとうように思う。

保育園は家庭での集団経験しかない子どもが最初に出会う外の集団である。その保育集団の中でそれぞれが自分の生き方を学んでいく。最初に出会う保育集団は、また、その出会った子どもの運命を変えていく。特に乳幼児の心は真水で、どの様にも色がつけられる。

「三ツ子の魂百まで」。子どもは環境の中で心が育ち成長していく。良い保育環境とは何か、高島第一保育園の30年間の課題である。それは本園の歴史の中で理論ではなく実践を通して、大勢の仲間達との生活の中から子ども達が自然に築いた環境であり、子どもの心に夢と想像力を育み、逞しく生きる基礎を培う土壌の中で、子ども達が楽しく生活できる保育環境でなければならないと思っている。その為の環境作りには2千名近い子ども達、200名を超す同僚、先輩諸先生が関わって下さり、その貴重な実践の積み重ねで今の本園の保育がある事に感謝しています。

また、この少子化の時代に本園を選んで入園して下さっている事は本当に有り難いと思っています。ただ、高島第一保育園が目指している保育を保護者の皆様にどのように理解していただくかが課題であり、本当に理解下さる事によって我が子の成長発達が一層充実につながるのではないかと思っています。

毎年2回参観日を持ち、併せて公開保育講座と称し本園の保育と非常に関係深い講師の話を皆様にお伝えし、保育環境の充実を目指して計画していますが、参観には大勢の人が来られても公開保育講座には40〜50名程度の人しか残って下さらない事がほとんどです。

保育園は保育参観行事として計画し、子ども達は保育時間中なので保護者の皆様には全員参加していただけるものと思っていたが、講座には参加されずに帰られてしまう。私達が当日設定している行事を拒否され参加されない事は、保育参観について保護者の皆様はどのようなお考えか理解に苦しむところである。ひいては我が子の子育てについてどんなお考えを持たれて、参観日に参加されているのか理解に苦しんできた歴史です。

6月はプール遊びが始まります。子どもは楽しいですが、水遊びは大変危険な事で、園としても担任としても常に事故の心配で一杯です。でも避けて通るより、経験させる事がよりよい成長につながると信じて、プール開設も6、7、8月の3ヶ月使用する冒険も敢えて行っている事なども知って欲しいものです。

梅雨の晴れ間には外で思い切り遊び、自然も活気に満ちた時、子ども達も自然の流れに沿って逞しく育って欲しいと念じている。

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