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1996年5月

創立30周年の節目の年、
子どもの心を大切にする 保育とは何だろう!
その原点に挑みたい

5月は、「さつき」とも言う。さつき、つつじが咲き乱れ新緑が漂い、風の心地よい季節で、1年のうちで心身共にさわやかに、快適に暮らせる時です。

1日の八十八夜、節分から数えて88日です。寒い寒い時に豆まきなどして楽しんで3ヶ月を迎える。時の流れの早さを感じる。八十八夜は種子播き、植え付けの時で、年によると晩霜に柿の芽や、植え付けた作物が霜で被害を受ける事もあり、自然界は緑一色に包まれ、活動躍動の季節を迎え成長していく。

保育園も4月の入園式で新しい集団を作り、準備期間も終わって成長期を迎えている。戸外遊び、散歩等から活動の輪を広げて、野山で、頭や顔でなく足の裏をふんだんに使った人間行動が、本当に身につく教育、保育であると思っている。

ともすれば逆の保育が横行し、先日もある有名な保育園を訪れたが、保育室は机と椅子がきちんと並び、黒板も前に作られ、幼児から教える、与える授業を行うように設定されていた。保育という事に大きな疑問と、教育体質の改善工夫について、どんな考えを持たれているのかなと思った。当日は日曜日で、窓越しに保育室を拝見してそう思った。

本園は保育園を開設して30周年を迎える。30年を振り返って、保育内容も雲泥の差を感じるというより、子ども達のすばらしい発達は、当時今日のような状態は全く想像をした事がない程、子ども達は環境に順応し、同化し、創造し、子ども達の世界を作りだし、集団の力は迫力を増している。

子ども達は、できた喜び、できる自信で表情も明るく活気に満ち、保育もやり易く、集団での活動も高まり、色々と多目的な経験が深まっていく。乳幼児期に他では経験する事の出来ない多くの宝物を得て成長していく。子ども達の活力は保育者のやる意欲、喜びを倍加して、新しい発想が次々に生まれ、子ども達の期待に応えて保育に対し喜びを感じる。保育者の若さ情熱に一層拍車がかかり、保育園全体の活力が盛り上がり、子ども達の声が園庭に充満する。

幸い本園は定員200名、朝7時から夜8時まで、また、一時的保育は昨年は1日平均9名を受け入れて、大集団で個性を出し切る保育設定は、思い思いの活動の中で子ども同士が裨益しながら経験の輪が広がっている。

集団の活力、環境が良くなると、集団の経験の少ない子ども達もすぐ同化し、保育歴が長いような錯覚を起こす。本園を選択して申込下さるために、どうして入園できるように配慮するかという事にも大変苦慮するなど、有り難い状態である。

保育園での昼の活動が充実し、心を満たし、体を動かすと、夜早く就寝し、夢があり想像一杯は早起きとなり自然のリズムに沿った生活が自然に身について心身が爽快となる。子どもは起こさなくとも起きてくる。早起きは三文の徳と言われている。今、21世紀の夜明け前である。夜明け前は空が真っ黒くなって曙光が見えてきて漸次明るくなって夜が明けていく。今新しい時代に向かって変革、夜明け前の状態である。

今、夜明け前に起きて、活動している人は数少ない。ある人は寅の一刻に、つまり午前3時30分に外に出て礼拝していると聞く。この時刻こそ宇宙の霊波が一番強く差し込んでくる。弘法大師も親鸞さんも知っていたと言われる。宮本武蔵が洞窟で「五輪書」を書こうと決意したのが、寅の一刻であったと言われ、その序文に寅の一てんを書き残している。立派に生きた人はやっぱり、寅の刻に偉大な宇宙の霊が動いているという事を感じた人達だったんだと思う。

私達は自然の仕組み、法則の中で生かされ、天道にかなった心、ひらめきが目に見えない宇宙の仕組みの中で助けられ拓かれていく。子ども達は利害打算で生きている大人とは違う、澄み切った心の持ち主で、色々な事を肌で心で感じ、私達大人の心を読みとり、嫌な事はいやとはっきりしている。邪心がないから宇宙の霊気一杯を吸収して、自分が感じ、ひらめいた事を素直に行動し、飽きる事なくやり続ける。その行動を通して、神から授かった個性が磨かれ育ち、生きていく力となっていく。その活動の中で夢が一杯ふくらんでいる。それは理想を描き、信念を持ち、計画し、実現するため努力し、有意義な人生であったという喜びとなる。

子ども達の自由な行動の中で、大人になっては出来ない、又考えられない人間の生きる力の原動力が、乳幼児の時に培われるのではないかと、30年の保育園の歴史の中で、子ども達の活動、行動を通して、今痛切に感じている。

今私達保育者や大人が、管理規制し、子どもの伸びようとする夢、芽を何気なくつぶしてはいないだろうかと思う事もある。

教育学、保育学等、専門的知識のみに抗泥して、教育を押し進めたり、資格優先の学校教育の中から真の教育は育たないような気がする。学問や資格ではない。子ども達から選ばれる保育者、教育者でなくてはならない。 保育は子ども達との信頼関係の中で成り立ち、毎日が動いている。嫌な人とは居たくない。理屈はない。それは心の通じ合いである。

常に子ども達と共感でき、行動し、夢と想像を逞しく生き続ける人でないと子ども達と離れていく。私達は子ども達から教えられ、常に前向きに取り組み、自己成長しなければならないと思っている。

今年は30周年という保育園にとって大切な節目に当たる。過去をまとめ、反省し、次への発展の夢、構想を明示し、目標設定の上で一日一日を大切に積み重ね、乳幼児の保育環境の殿堂の構築のため、精一杯頑張り続けたいと思っている。

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