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保育園経営者は保育の使命の重大さを自覚し、
本当に時代に望まれた保育を
展開していかなければならない
| 保育園開設してから34年、だいいち園便りにこの巻頭言を毎月欠かさず書き綴って27年にもなる。時は瞬時に過ぎるものだと痛感するこの頃である。 保育園の3月は、1年間の保育のまとめとして大変忙しい。保育の記録を整理するとともに、新しい年度に向けての保育計画の作成などだけでも大変な仕事である。そのほか新採用の保母の園内研修のために全職員が高島第一保育園の築き上げた保育内容、実技、役割分担などを教えていかなければならない。3月から研修し、4月からは各クラスの担任として責任をもって勤務してもらわなければならない。 また5歳児は卒園という大事業をかかえている。4月からは小学校入学で、園生活を思い出いっぱい繰り広げて巣立ってほしい。そのため色々な行事が行われる。中でも卒園式は感動いっぱいの儀式である。 卒園の思い出として、毎年「思い出集」を作成している。これは昭和56年から続けてきている。担任は、その作成準備を1月頃から始め、3月に入ってから印刷製本をする。卒園式前には製本するように一生懸命である。卒園児は高島第一保育園で60名、だいいち子どもの国で15名、合わせて75名となる。学区もいろいろで小学校も10数校に分かれて入学する。保育年数もまちまちで、乳児から来ている子も、あれば3歳、4歳で入ってくる場合もある。 しかしどんな子どもであっても、私達保育者が、真の保育を模索し、その子が自分の生きる力で精一杯人生を謳歌できるように頑張り続けた成果は、子ども達の姿に反映している。この子達が良い人生を送ってほしいと心から祈っています。 子どもと言って、大半の大人は軽く見ている。見くびっていると言っても良い。しかしそれは大人の思い上がりであり、そのことに気づかなければ子育て・保育の本質には近づけない。時に子どもは大人以上に聡明で、物事の本質をよくわきまえている。また、子育ての楽しさは、大人の視野と子どもの視野の両方を感じる楽しさでもある。子どもの心を理解しながらも大人の立場もわかる、というのは子育て・保育をする以前にはなかなか感じられない境地である。この妙味は、真剣に子どもと接し、保育に熱中し、子ども達と夢を追う生活の中で体得する特権である。 体験という貴重な宝があって初めて書物を読むことに意味ができる。体験せず、読んだ本の内容から保育・教育を構築する学者や教育者は、真の学者・教育者とは言えない。生きた教育論や保育論は少なく、知識の切り売りであるが、そんな教育が戦後の日本で幅を聞かせてきた。 他の園は、それぞれの状況も違うし、一括りに言ってしまうのは乱暴ではあるが、しかし「これが保育・教育」と胸を張って言える幼稚園・保育園は果たしてどのくらいあるのだろうかと不安になる。 開園した当初は保育園の保育というものは、全く評価されていなかった。保護者にしても「子どもの教育は幼稚園で立派にしてくれる」と言い、「保育園に行くほど、うちは落ちぶれていません」と言われたことすらある。3歳くらいまで保育園に通ったら、あっさり4歳で幼稚園に転園し、仕事も辞める人が多く、何のために保育園に預けているのか疑問を感じることも多かった。仕事のためであれば、仕事は辞められないだろうし、子どものために言えば、生活環境がころころと変わることは非常に気の毒である。子どもは何より大人との信頼関係を大切にする。そのために3歳から預かった保母は必死に保育し、やっと信頼関係を築きかけたところで転園する。保育者としては本当に悲しく無念である。開園10年くらいはどの子もそういう進路を取り、私達は毎年その無念を痛烈に感じてきた。しかし幼稚園での自由保育を体験した保護者が次第に保育園に残るようになり、あるいは幼稚園から戻ってくる子も出てきた。「上の子は幼稚園に行ったけど、やっぱり保育園の方が…」と「下の子は就学までお願いします」と頼まれるようになった。 岡山では保育園より幼稚園が教育的に優れている、と保護者は非常な期待をかけていたのが、現在では幼稚園離れの傾向を示し、また公立優先の風潮が公立の実態を知って民間を選ぶようになって久しい。 今、公立・民間や幼稚園・保育園を問わず、「何故、公立より民間が選ばれるのか」「幼稚園より保育園が選ばれるのか」を問い直さなくてはならない時代を迎えている。そして保護者のニーズ、社会の要請は何か、時代は何を求めており、子ども達の保育・教育のために私達に何が出来るかを明らかにしなければならない。 岡山市の保育行政は、根本的な見直しを図るべき時期を迎えている。もしもそれが出来なくては岡山市は沈滞しさびれていく。岡山市の人口も下降の現象を呈しているようである。特に子育て世代の若い夫婦の市外への転居が目立つと言われる。転勤などの都合であれば仕方がないが、岡山市内に信頼して子どもを預ける施設が少ないために、その施設が行き届いた他市町村や他都道府県に移るケースも少なくないという。これは岡山市にとっても私達保育園経営者にとっても大変な名折れである。むしろ岡山市の保育・幼児教育事情が質・量ともに良いので岡山に住みたいと言われるようにならなければならない。 かつては岡山県は教育県として、全国から羨望された県である。私達は偉大な先輩に、今の現状を恥じなければならない。そしてかつてのように、誇れる岡山市・岡山県にしていきたいものです。 住民がどんなことを岡山市に願っているのか、どんなことを魅力と感じ、岡山に住みたいと願うのか、大々的に調査してみたら良いと思う。そして行政の施策を見直し、良いところは伸ばして、新しい発想も取り入れながら、岡山市に新しい風を入れていきたいものです。そのためには市場競争原理もある程度は必要であり、国の方針も規制緩和をして市場競争の方向に向かっているように思う。そしてその中で私達は「如何に良い保育を存続するか」を模索しなければならない。 競争原理は必ずしも悪いものではない。ただ現代の社会の競争の中で「悪貨が良貨を駆逐する」場合も多く、保育においてそのような事態を引き起こさないためには、保護者の皆様の意識の在り方が大切になります。保育園を選ぶ時には「仕事や親にとっての便利さ」と「子どもの成長」という2つの側面があります。「便利さ」だけを追求した保育園が選ばれることは悲しいことです。その時は良くても、将来どんな事態を引き起こすかわかりません。しかし保育内容だけが良くても仕事の都合に合わずに利用できないことも残念なことです。 私達はこの2つの面をできるだけ両立しながら保育サービスを提供したいと願っています。また、そのような保育園が岡山市にもっと増えてほしいものだと思います。 昨年1月、本園の姉妹園である「みかど貴ッズガーデンだいいち」が駅型保育園としてスタートしました。従来の子どもの心を大切にして子どもに学ぼうという高島第一保育園の理念の上に立ち、さらに、より親の気持ちを理解した対応ができる保育園にしたいと願ってスタートしました。そしてそのことが高島第一保育園の保育そのものの見直しのきっかけにもなったように思います。姉妹園であり、また良い競争相手でもある園が出来たことは高島第一保育園にとって喜ばしいことでした。公立・民間を問わず、このような良い競争相手が岡山市内に沢山出来てくだされば本当に素晴しいことだと思います。そしてお互いに学び合って高めあえたらどんなに素晴しい岡山市が出来るでしょうか。 子育てに真剣に悩む人達にとっても、地域の保育園の心のこもったバックアップがどんなに心強い味方になるでしょう。時には「子どもをちゃんと育てるために」わざわざ仕事を探して保育園に預ける方もいるようです。いろんな保育園の保育内容が向上することを、そういう人達は心から望んでいることでしょう。また、幼稚園もそれぞれに「何が自分に課せられた使命か」をしっかりと考えて、時代のニーズに応えながら本当の教育を展開してほしいものです。 今まで軽んじられてきた乳幼児の教育が、今、社会全体の課題になってきている。少子化対策は、経済から政治からあらゆる社会機構の基盤を固めるために、非常に大切な問題になっています。しかし、保育園の経営に携わる人の多くは、その重大さに気づかず、ただ将来保育園の園児が減って経営が苦しくなる程度の認識です。もちろんそれも問題ですが、問題の根本は何かを気づき努力をしていけば、自然に認められ、人は集まってきます。全国にそんな園はいくらもありますが、残念ながらそうでない園はさらに多いようです。生き残るための努力ではなく、本当に保育園としての責任を全うする努力が求められていると思います。 本当に優れた保育文化を創り出し、継承して行くために多くの人の努力が必要です。私達も、まだまだ未熟ながら精一杯の努力をしていきます。そして保護者の皆様、地域の皆様と一緒に歩んでいければ本当に嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします。 |
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