|
|
保育者の意識が子ども達を育てる
本当の保育を展開するための人材を育てるべく
精進していきたい
| 平成12年度前半(陽の季節)、子ども達は、成長・活動の時期に自然と共にすくすくと、素晴しい成長を遂げています。その発達の成果を見届け、「出来た」「出来る」という自信や、そこから育つ子どもの自立心と喜び・意欲など、前期の保育のまとめと評価反省の意味をこめて、10月14日(土)に運動会を行う。 9月4日にプール納めをして、秋の活動・運動会に向けて、保育の取り組みは一変し、園庭の遊具も移動し、白線でコースを描き、保母も子ども達も心を一新して、精一杯充実した運動会にして、前期の保育の総まとめとなるように念じて頑張っている。 今年度は、本園が築いてきた保育を再検討して、子どもへの配慮の行き届いた、心のこもった保育を展開していくことを願って、保育課題の点検をし、保育者の共通理解を図り、実践を具体的かつ明瞭にして、保育者の子どもへの対応や保護者への対応など、細部にわたって見直し、職員会議も毎月テーマを決めて保育内容の充実を目指してきました。 保育者の意識が変われば、子どもの活力も倍加する。プール納めで、今年の子ども達の水遊びの様子を見て、これほど変わるものかとびっくりした。今までは水遊びは危険を伴う遊びであり、その危険に留意しさえすれば、あとは伸び伸びと子ども達が楽しんでいればよい、と子ども達の自由に任せてきていた。しかし今年は職員会議で、水遊びについて話し合い、小学校では充分に泳ぎの指導をしてもらえないと聞き、小学校に入って泳げない子は、自信を失って、水遊びの楽しさをも味わえなくなってしまうが、それではせっかく水遊びを取り組んだ甲斐がない、できるだけ保育園で楽しさを感じているうちに泳げるように指導してやりたいと、その気持ちでプール遊びに取り組んだ結果、就学前の子ども達はかなりの数の子がプールで泳ぎを披露してくれた。 また、それぞれの年齢でも活動の様子が変化し、子ども達の活力が身体に充満し、何でも挑戦しようという気持ちが表情に表われている。頼もしいかぎりである。 今年も夏季保育に多くのボランティアの皆様が、参加してくださって、子ども達はいろいろの人との交流ができ、いろいろなことを経験し学んでいることと思う。 それから職員も夏季保育中に全国各地へ保育研修に参加するために出掛けている。保育への取り組みが停滞してマンネリにならないよう、常に新しい風を吹き込むことを願って昭和50年代の初め頃から、保育研修への職員の参加を義務づけている。そして8月の職員会議で研修報告をして、短時間ではあるが、それぞれ自分が参加した研修内容をおさらいして身になるように、またそれぞれの研修の情報を交換して、参加者以外でも活用できるようにしている。それが個々の保育者の成長につながるように、また日々の保育を振り返るための反省材料として生かされ、保育園全体の保育の向上となるように長年取り組んでいます。 私自身も子育て・保育の原点はどうあるべきか、実践に基づく保育の理念と哲学の創造を目指して保育事業に携わって、明年35周年を迎えます。 昭和48年4月号から園だより「だいいち」に毎月欠かすことなく、私の思いや、その時の保育や社会の情報を自分なりにまとめた文章を、巻頭言として書き綴ってきました。その巻頭言を本にまとめて、「先見・開拓・創造の保育」と題して出版することになり、第1巻(S 〜S 年度)、第2巻(S 〜S 年度)は既に発行していますが、第3巻(S 〜S 年度)がこの度出来上がり、第4巻(S 〜S 年度)も今月には発行できる見通しです。拙いながらもその時代時代で一生懸命考え、保育に取り組んできた記録です。皆様の子育てや保育研究の一つの参考となれば幸いです。 この「だいいち」の巻頭言も、書き始めて27年と7ヶ月、回数に換算すれば335回となります。あと3◯回で365回、1年間毎日書き続けるのと同じ数になります。この他、子どもの国の園だよりも5年位、またみかど貴ッズガーデンだいいちにも今年1月から毎月書き綴っています。今日までの巻頭言をすべてまとめれば、あと4〜5巻ほど必要となる。 他にも明治図書から昭和58年に出版した「絵本の保育」「音楽の保育」「体力作りの保育」を再発行し、保育資料として広く提供したいと考えています。絵画については創造美育の絵画理論を取り入れ、実践し研究してきた資料がこの度やっと最終校正が出来、発行にこぎつけることができそうです。 みかど貴ッズは平成12年1月に開園してから、あと3ヶ月程で1年を迎えます。児童福祉ではなく、働く女性の支援を第一の柱として、新しい時代の保育へ向けての試行事業としての駅型保育事業。子どもの幸せと家族の幸せの両立を目指して、また地域に開かれた保育園となるべく努力してきたこの1年の歩みを、読みやすい1冊の本にまとめるよう準備しています。 もちろん保育は資料ではありません。まず、子どもへの愛情と仕事への情熱が良い保育者への第一歩です。しかし、情熱を持ち、行動をしようとしている時に、すぐれた先輩の指導やちょっとした言葉がとても力になるように、長年の実践をまとめた資料も、意欲的な保育者にとって大切な参考資料となるはずです。また、自分の保育が記録に残ると考えれば、保育者もおろそかな保育はできないし、記録を残すことで自分自身の反省材料となり、保育者も成長していくと考えています。保育は実践でなければなりません。しかし記録に残すことで実践に磨きをかけることができます。 21世紀に向かって、すべてが大きな転換期を迎え、保育事業も大きな山場に差しかかっています。 魅力ある園でなくては、21世紀に保育を継承することはできない。良い保育をしていると自分では考えていても、その保育が利用者にとって魅力がなければ、人は離れていき、存続が危うくなる。良い保育をしているというプライドを持ち、21世紀にそれを残す使命を感じているのなら、自分の園が利用者の皆様に魅力を感じていただけるように努力をしなければならない。しかし便利さなどの安易な魅力だけで、本来の保育をおろそかにするならば、21世紀に残るべき保育とは言えない。保護者の便宜を図り、同時に子どもの成長を見据え、親にとっても子どもにとっても良い保育園とならねば保育事業に打ち込んできた甲斐がない。 この激動の時代の中で、子育てはますます困難になり、教育環境もいよいよ厳しいものとなっていく。この現状を打破しなければ、人類の未来も危ぶまれる。私達保育者にかかる責任も日毎に重大さを増していくように思われる。 この重大な社会的責任を果たすことが保育に携わる私達の仕事である。他の保育園・幼稚園ではどのように考え、新しい時代における役割を果たそうとしているのだろうか。特に公立に於いては、その意欲・意識に乏しい。一部の熱心な保育者も、巨大な組織の流れの中では、ほんのわずかな力しか発揮できず、次第に意欲が失われていく。また、私立の認可保育園はぬるま湯の中で、行政の指導監督の下で骨抜きにされ、保守的になり、現状維持のための努力に追われて、保育の原点を見失いやすくなっている。 この様な現状で、次第に認可保育園の保育サービスでは社会のニーズに応えられないと行政に判断され、規制緩和によって社会福祉法人など以外、例えば企業でも保育事業に参入できるような制度の導入となって表われている。認可保育園制度によって、無認可園に比べ優遇されてきた現状にしがみつけばつく程、行政にとっては大きな荷物と看做され、却って存続が危うくなる危険をはらんでいる。 この時代に何よりも保育園に必要なものは、人材である。人がいて、それが園の宝といえる人財になるように育てていくのが設置者の任務である。幸い一人一人の保育者が、それぞれに精一杯子どもに愛情を持ち、情熱を持って保育にあたってくれていることは本当に有難いことであり、また多くの保護者の皆様がそれを理解し、担任を信頼してくださっていることは嬉しいかぎりである。これらの保育者が更に努力して、皆様のより厚い信頼がいただけるように一層の成長を遂げるよう願っている。 私も6月から大病をし、百日以上保育園に行くことができず、子ども達や保育者の皆さんに迷惑をかけた。気持ちの中では、事故がなければよいが、とか、先生達にも申し訳ない、などといろいろ気に懸かりながらも、私のしなければならない仕事も全部主任の北江先生を始め、皆様に協力していただいて、大過なく日を送ることが出来たことに感謝しています。これもそれぞれの先生が自分の責任を果たしてくださっているおかげと思っています。 あと3ヶ月で20世紀が終わり、21世紀を迎える。来年は省庁再編である。今まで保育園の主管は厚生省であったが、再編によって労働省と一つになり、労働厚生省となると言われる。中央では厚生省児童家庭局、県は家庭福祉課、市町村は保育課という部署において保育行政がなされてきたが、今後は労働厚生省の雇用均等児童家庭局が担当局となり、児童福祉と女性の就労支援と雇用対策のための保育事業が展開される見込みである。 このように新しい労働福祉行政が展開される21世紀に、山積する新しい保育課題と、厳しい保育行政の展開が予想されるが、私達は時代に逆行することなく、また時代に迎合するのでもなく、本当に社会に必要な保育サービスを提供していきたい。 |
|
|