1998年/こばと文庫のオススメ本

12月の本
「やまんばのにしき」表紙画像

やまんばのにしき

  松谷みよ子・文
  瀬川康男・絵
  ポプラ社

きこえるよ、 かぜが戸口で呼んでいるのが。「おーい」とちっちゃな声で。「おおーい!」 すると ぼくは風船をもって あそびにとびだす。
ああ、そうだなー、風が吹くのがすごく面白かったことがあった。なんだか身体中がわくわくでいっぱいになってたなー。
と、そんな感慨とともに、思うことがひとつ。 それは、「科学」とか「文学」とかっていろいろ「学問」なんてものがあるけど、根っこは全部子どもの感じる「オドロキ」の気持ちにつながっているのねー、って、そんな単純なことなんだけど。
地味な本だし、主人公は肌の色が違うし(見慣れないもので、すみません。慣れたらけっこう可愛い)、最初は全然ピンと来ないかったんですが、時間が経つごとに熟成していく本、そんな気がします。

11月の本
「ジルベルトとかぜ」表紙画像

ジルベルトとかぜ
マリー・ホール・エッツ作/たなべいすず訳
発売:冨山房

きこえるよ、 かぜが戸口で呼んでいるのが。「おーい」とちっちゃな声で。「おおーい!」 すると ぼくは風船をもって あそびにとびだす。
ああ、そうだなー、風が吹くのがすごく面白かったことがあった。なんだか身体中がわくわくでいっぱいになってたなー。
と、そんな感慨とともに、思うことがひとつ。 それは、「科学」とか「文学」とかっていろいろ「学問」なんてものがあるけど、根っこは全部子どもの感じる「オドロキ」の気持ちにつながっているのねー、って、そんな単純なことなんだけど。
地味な本だし、主人公は肌の色が違うし(見慣れないもので、すみません。慣れたらけっこう可愛い)、最初は全然ピンと来ないかったんですが、時間が経つごとに熟成していく本、そんな気がします。

「おにぎり」表紙画像

おにぎり
平山英三 文/平山和子 絵
発売:福音館書店

「食欲の秋」子ども達は食べることも好きだけど、作ることだって興味津々。 でもまだ小さくてお手伝いのつもりが空回りしちゃうことも多々あります。そんな時、このシンプルな絵本は、けっこうお役立ち。

大人からみたら何の変哲もないおにぎりの作り方ですが、丁寧な絵で、子どもにわかりやすく説明してくれてます。読みながら、「おにぎり作るまね」手を洗うことから始まって、アツアツご飯を手のひらにのせるまね、ギュッギュッと にぎるまね、あんって大きなおくちをあけて食べるまね、そんなおにぎり遊びをやってみましょう。けっこう面白いんですよ。子どもが喜んだら、何回でも繰り返し遊びましょう。「覚えたかな?」って思ったら、ほんもののおにぎりに挑戦してもいいね。いっぱい楽しんでおにぎり名人がまた一人誕生…なんてことになると愉快ですね。

「えぞまつ」表紙

えぞまつ
神沢利子文/吉田勝彦絵/有澤浩監修
発売:福音館書店

「うけつがれるいのちのひみつ」とサブタイトルのついたこの本。町の中に暮らしているとだんだん見えなくなってしまうものがたくさんあります。「生命の力」っていうのも、そのひとつ。

この本は、できればお父さんに読んでもらってほしい。お父さんが読んで、お母さんはひざのうえに子どもを抱っこして、一緒に聞いてほしい。そういう読まれ方が素敵だなあ。ホントにいのちのひみつを受け継いでる気がする。お父さんが無理なら、おじいちゃんやおばあちゃんが読むのもいい。何回でも読んでもらって、あったかな気持ちを受け取ってほしい、そう思います。

10月の本
「ウバユリ」表紙画像

「ウバユリ」子ども達に贈る絵本4号
稲田和子再話 稲田なほ絵 三宅忠明訳
発売:温羅書房 定価:1000円(税別)

 

「これはアイヌの女の人がしてくれた話です。」

アイヌの貧しい女の人が夫と食べ物を探しにいくと、木の枝にカラスが止まりました。カラスの会話に耳を傾けてみると…。

昔話の中にはたくさんの智恵が隠されています。自然を守ることが自分を守ることにもつながるということも、ただ言葉でいうのでなく、一つの物語になると長く伝えられることができます。そんな風に昔の人達は、大切なことを子ども達に伝えてきました。

さて、現代の私達は、きちんと子ども達に大切な言葉を伝えているでしょうか。

ところで、「作者が日本人なのに訳者がいるのは何故?」と思ったひともいるでしょう!? これは日英対訳本で、日本の子ども達が読んだあと、フィリピンの小学校に送られて、フィリピンの子ども達にも読まれるという、ちょっとユニークな絵本です。十二回配本で、今のところ9冊出ています。こんな国際協力も面白いですよね。興味ある方は文庫にてお尋ねください。

9月の本
 

いやだいやだの絵本
・にんじん ・もじゃもじゃ
・いやだいやだ ・ねないこだれだ

 

 

あーんあんの絵本
・あーんあん ・ふうせんねこ
・ルルちゃんのくつした ・きれいなはこ

せなけいこ 作・絵
発売:福音館書店

今回はちょっと趣向を変えて、ごくごくメジャーな絵本をご紹介します。きっとどこかで目にされたことがあるはずの絵本です。

保育園では0歳のクラスでも読み聞かせしてるのですが、けっこう小さくても聞いていますねえ。(赤ちゃんだから読んでもわからないということはないので、ぜひ読んであげてください)

赤ちゃんの絵本というのは、4・5歳以上の子にとっては、しばしば「赤ちゃんの本だー」と、もう読んではいけないものみたいになってたりするのですが、不思議と、せなけいこさんの本には抵抗がないみたい。けっこう大きい子でも喜んだりしています。

なぜかしら…? どうも、ときどき出てくる「おばけ」に人気の秘密があるような気がする…。

せなさんのおばけ絵本シリーズと合わせて読むと、一冊で二度おいしい、かもしれない。

8月の本
 

「さる・るるる」
作:五味太郎
発行:絵本館

 

人気絵本作家の五味太郎さんのシンプルだけどアイデアたっぷりの楽しい一冊。
さる・くる、さる・みる…、そんな単純な言葉だけで、こんな素敵な絵本を作ってしまうこのひとの頭の中はいったいどんなつくりになっているのでしょう…。

他にも「さる・るるる one more」「ばく・くくく」「バク・ククク(English Version)」などもあり楽しめます。きちんとオチもあって、やや辛口。

特にばくさんには、男の哀愁がにじみでていますが、こんなに苦労してても、好きなひとがいることの幸せを感じているらしいあたり、なかなかあなどれないものがあります。さるくんも、失敗してもきっとこりないタイプみたいで、また天真爛漫にいろんなことに挑戦しちゃうのではないかしら。

 


 

「どろぼうたちのよる」
作:佐々木マキ
発行:絵本館

 

佐々木マキさんの「なぞなぞライオン」がこの夏の小学校低学年の課題図書の中に選ばれていて、「こんな面白い本が選ばれるなんて、近頃の小学生はいいなあ…」と思いました。
反面、やっぱり読書離れが進んでいるってことかな?とちょっと気になったりして…。

でも、「なぞなぞライオン」もいいけれど、読んであげるなら「どろぼうたちのよる」。同じように面白い3つのお話が入ってますが、読んであげやすいのと、毎ページに絵があるところがいいですね。

なにしろ「なぞなぞライオン」の2つめのお話「へびははやくち」は読み聞かせしてると舌がもつれそう。自分で眼で読んでる時はすっごく面白かったんですけどね。読み聞かせるにはかなり練習しないと…。まだまだ未熟者でスミマセン。

ちょっとナンセンスで、ほわっととぼけたユーモラスな佐々木マキワールドを是非お楽しみください。


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